今回起きた台風、そして立て続けに起こった胆振(いぶり)地方で発生した北海道地震。
現在西尾は酪農ヘルパーという、いろいろな酪農家さんの作業補助員の仕事をしている。毎日現場が変わって、農場ごとで作業が異なるお仕事。
この台風の時も、地震の時も、どちらもヘルパーの仕事があり、信号や電気が止まっている中で酪農家の元へ向かった。
すでに台風の時点で電線が切れ、自分が担当している区域の酪農家さんのほとんどで電気の供給が無かった。そして地震の影響で水も多くの地域でストップ。
さて電気がないと酪農場ではどのようなことが起こり、何が一番困るのか。
それは乳が絞れないということ。
乳が絞れないことの影響はおそらくみんなが考えていることよりももっと大きい。
まずは絞れないことによる収入損失。また、多くの酪農家さんでは朝晩2回乳を絞り、2日に1回出荷するため、計4回搾乳分の牛乳を大きいタンクに溜めておく。通常ずっとクーラーが点いて冷やしているが、これもストップしたため、衛生上、出荷できず廃棄処分になる。
さらに、乳を絞らなかった場合、乳房に乳が溜まり過ぎてしまい、内部で炎症を起こし、炎症によって剥がれた皮膚が牛乳に混ざる乳房炎というのが発生する確率が上がる。もちろんこれも出荷できないのだが、これを治療するために薬を入れると、その薬が抜けて乳に成分が混ざらなくなるまで1週間弱その牛の牛乳を出荷できない。1週間では治らないこともあるし病気が悪化してしまうと一つの乳房が今後完全に絞れなくなってしまうこともある。
酪農家では乳が絞れないと1日10万円の損失が出ると言われてるのはこういうことが関係する。
約2日停電が続いている間、軽油で動く発電機をどこかから借りてきた酪農家さんがほとんどだが、それも早く借りれた人と遅かった人もいて、借りれた場合でも、搾乳ができても牛乳を買い取る方の会社も動けなかったことや牛乳タンクのクーラーまで電気が回らず結局廃棄しているという人がほとんどだった。それでも乳房炎の事情で捨てでも絞った方がいい。
自分の父親が所属している酪農会社のkalm角山は、ふんだしや餌やり、餌押しなどロボットがふんだんに使われた会社なので、影響は計り知れない。父親は忙しく全然会えないので状況もまた聞きでしか聞いてない。落ち着いたら労ってあげねば…
加えて前日の台風被害。実はこれは実家も結構やられた。こんな感じで、、、
いろんな農家さんで同じようなことが起こっていた。保険に入っていれば種類にもよるが最大8割程度まで補償されるが、それでも10万単位は実費で発生してくるし、この状況だとどこまで出るか正直わからない。冬に向け、早急に修理しなければいけない。
今回は地震の大きさも台風の強さも過去一度も経験したことがない規模らしいので、人が住む家比べて災害に弱めの農家の建物はそこまで想定されて作られていなかったと思う。
と、ざっとこんなことが起きていた。
一番考えさせられたのは、機械と酪農の関係。
機械動作にトラブルが発生した時に重要作業がストップしてしまう。
でも、牛は生き物だからストップしない。1日2日の作業ストップに大きな大きな影響が出る。
これからどんどん作業の自動化が進んでいくし自分もそういう酪農をつくって行きたいが、こういう時代になっていくからこそ、機械が止まってしまった場合でも手作業である程度効率的に仕事ができる牛舎の作り方と作業のBプラン、Cプランというのを事前に考え、リスクマネジメントをしなければならないと強く感じた出来事でした。
実家は保険に入っていないから、壁はりDIYします。インスタに載せます!皆頑張ろう!